吃音を持たない方へ〜吃音について知って欲しいこと〜
初めまして‼️
この度は当ブログに訪れていただき誠にありがとうございます🙇♂️
当ブログでは、吃音を持ちながらも研修講師として社会で奮闘する私の経験を包み隠さず投稿させていただいております✍️
他の記事も是非お読み頂きたいのですが、まずはこちらの記事に目を通していただき、吃音を知り、身近に感じていただけますと嬉しく思います☺️
これから長文となりますが、お時間の許す限り最後まで読み進めていただけますと幸いです👏
目次
吃音って何?
まず、「吃音」って読めましたでしょうか。
初めて見る方は何て読むのかすら分からないかもしれません。
ズバリ、「吃音(きつおん)」と読みます。
吃音というのは、簡単に言うと、どもってスムーズに言葉が出てこない障害です。
日本人の100人に1人が持つ障害と言われており、症状の強さによっては身体障害者手帳を取得する事も認められております。
100人に1人と言うと、"学年に1人か2人はいる"というイメージでしょうか。
私が吃音の事を周りの方に話すと、「同じクラスにそういう子がいた!」と思い出してもらえる事が多いです。
全国で見ると、ざっと100万人ほど吃音を持つ方はいるみたいです。
100万人ですよ?!CDで言えばミリオンセラーですね‼️(言い方が古いか💦)
結構多くないですか?!
意外と皆さんの周りにも何人かはいらっしゃるイメージと思います☝️
「でも、普段生活していて吃音かな?と思う人ってなかなかいないなぁ」
こう感じられている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのイメージも正しくて、吃音という障害は目に見えにくい障害とも言えます。
明らかに症状が分かりやすい方もいらっしゃいますが、大抵の方は"症状を分かりにくくする方法"に長けています。
子供の頃から吃音を自覚し、学校生活や社会生活を通して吃音症状が出る事に不安やストレスを抱えるようになり、意識的/無意識的にも吃音症状が目立ちにくい方法を考え、実践するようになっていきます。
それが歳を重ねる度に上手くなるため、吃音である事に気付かれずに過ごす方も多い事が推測出来ます。
しかしながら、本人としては吃音症状を隠す事やいつバレてしまうか分からない不安やストレスを日々強く抱えています。
以上より、吃音を持つ人の置かれている状況を整理すると、下記になります。
- 吃音を持つ人は全国で100万人もいるのに、吃音を目立たなくする方法に長けているために、あまり気付かれない。
- そのためにどもる事に対する不安やストレスも隠れてしまい、吃音症状に対して特に配慮される事がない。
- そのために吃音を持つ人はどもる事に対して不安やストレスを抱えながら毎日を過ごしている。
では、次の章で吃音の症状について細かく見ていきましょう☝️
吃音ってこんな症状
冒頭に吃音の事をどもってスムーズに言葉が出てこない障害と表現しました。
では具体的なその症状について紹介します。
吃音の症状は大きく3つに分けられます。
例えば「初めまして。阿部と申します。」と自己紹介するとしましょう。
症状その① 「は、は、は、初めまして。あ、あ、阿部と申します。」
連発と言われる症状で初めの言葉が連続で出てしまいます。
皆さんがイメージする吃音はまさにこれではないでしょうか。
緊張していたり、焦っているように見られてしまう事が多々あります。
症状その② 「......初めまして。......あ、阿部と申します。」
難発と言われる症状で、言葉がなかなか出てこない症状になります。
簡単な質問なのになかなか答えが返ってこないという経験はありませんか?
もしかしたら難発の症状かもしれません。
症状その③ 「は〜〜〜じめまして。あ〜べとも〜〜します。」
伸発という症状で、初めの言葉を伸ばしてしまいます。
個人的なイメージですが、吃音を持つお子さんに多い症状かなと思います。
吃音には3種類も症状があるのです☝️
そして、ここが最も大事なポイントなのですが、吃音症状は不定期に変動していきます。
また、緊張すると吃音症状が出やすくなるのは確かですが、吃音症状が出たからと言って緊張している訳ではないのです。
よく周りの方から指摘される点として、下記の点があります。
- 昨日までスムーズに話せていたのにどうしたの?
- 何でここでそんなに緊張するの?(友人との雑談の場面)
この質問がとても多く、正確に返答するには吃音自体をしっかり説明する必要があるので、いつも困ってしまう所です。。。ちなみにこの説明をする時にもどもってしまうので、いつも上手く伝わらずに歯痒い想いをしております💦
吃音のストレスを感じやすい場面
生活のあらゆる場面で日々吃音症状に悩まされています😞
皆様にイメージしていただきやすいのは、
学校の授業で当てられた時、人前でのスピーチ、朝礼での声出し、会議での説明などではないでしょうか。
また、レストランなどで注文する時にも大変な想いをしています。
食べたい物が言いにくい言葉(かけうどん、テリヤキバーガー、チキンナゲットなど)であっても、そのメニューは泣く泣く諦め、言いやすいメニューを注文してしまう事も。。。
指差しメニューがある時は本当にありがたく、自分の中で指差しメニューがあるレストランをリストしているほどです。
さらには、急な質問を振られた時にも極度の吃音に対するストレスを感じる事もあります。
例えば、「出身地は?」「どこに住んでるの?」「所属している部署は?」などの質問は、即答出来ないと不自然になってしまう質問です。
考えたり、分からないと時間稼ぎが出来ません💦
こういった即答が求められる質問は苦手で、その苦手意識からさらに返答が遅れ、困った顔をされてしまいます。
吃音の無い方からするとイメージしにくいかもしれませんが、我々はこういったシーンで毎度神経を集中させてしまうのです。
吃音の治療法
私は専門家ではないので詳しく語る事は出来ませんが、吃音はその発症する原因も治療法も未だ確立されていないと言われています。
数十年前は育った環境や、左利きの矯正が原因となっていると言われていたようですが、医学的に明確に否定されているようです。
発症原因も分からなければ治療法もないとなると、吃音と上手く付き合っていく事が必要になるのではないかと思います。
実際、吃音を持つ方々の自助グループである言友会は、吃音を持ちながらの生き方を確立する事を理念としています。
現在行われているのは、言語聴覚士による発話トレーニング(治すものではなく、出来る限りスムーズに発話するトレーニング。)が中心となっています。
また、医師により診断書が発行され、学校や職場にその配慮が求められる事もあります。
つまり現在は"治す"事よりも症状を"軽減"する事と、"配慮を求める"事が限界なのです。
以上より、吃音と自覚しても治療法がないために病院には行かず、自力で吃音と対峙している方が多いかもしれません。
私もその1人です。
しかしながら、最近では特に学生に対する配慮が進んで来ているため、学校生活や受験、英検などの資格受験に対する配慮を要望する為に病院を訪れる方が増えて来ているかも知れませんね。
その前に吃音専門医が少な過ぎるという課題がありますね。。。
吃音の人に出会ったら
長文になりましたが、ここまで読み進めていただき誠にありがとうございます🙇♂️
最後に皆様にお願い事があります。
これまでのお話の中で、吃音とは?吃音症状とは?吃音で困るシーンとは?など少しだけでもご理解いただいたのではないでしょうか。
それを踏まえた上で、この記事の中で最も言いたい事をお伝えしたいと思います。
それは、もし今後皆様が生活の中で吃音を持つ方と出会った際、今からお伝えする4つの点のうち1つでもいいので意識していただきたい。という事です。
吃音を持つ方への4つの対応
- 話し方より話す内容に注目して欲しいです。 (不器用ですが一所懸命伝えます。)
- さえぎらず、最後まで話を聞いて欲しいです。 (気長にお願いします。)
- 話し方へのアドバイスは逆効果になってしまいます。 (優しく見守って下さい。)
- 私たちにはゆっくりと話をして欲しいです。 (焦って症状がひどくなります。)
これは、アメリカ吃音財団で出されている"吃音を持つ方と話す6つのコツ"の項目を、吃音を持つ方々と話し合い、4項目にまとめたものです。
公的機関で認証を受けたものではありませんが、多くの吃音を持つ方々にとって、この項目の中の1つでも実践いただけると本当に喜ばれるものとなっております。
一方的にお願いする事となり恐縮な事ではありますが、これまでお話してきました通り、吃音を持つ方は日々の生活のあらゆる場面でハードルを感じ、大きなストレスとなり、場合によっては心の病に繋がってしまう事もあります。
4項目のうち1つでもいいので実践していただく。
もしくは、吃音を持つ相手の方にどういう対応をすればいいか聞いていただけるとさらにありがたい限りです。
そのお気持ちを持って頂くだけでも我々としては救われた気持ちになる事が出来ます。
私の記事がそのきっかけの1つになれるとすればそれが1番嬉しい事です。
まとめ
今回、吃音について皆様に是非知ってもらいたい事を紹介致しました。
我々の苦しみを知ってもらいたいのではありません。
私は吃音という障害を持ちながらも、人生を楽しみたいと思っています。
皆様が何気なくやられている事を同じようにやりたい。楽しみたい。
その一心なのです。
最後まで目を通して頂いた皆様に心から感謝申し上げます。
可能な限りでこの記事を周囲の方にシェアして頂けると幸いです。
1人でも多くの方に吃音について知っていただき、安心してどもれる世の中を心から望んでいます。
参考書籍
『吃音の世界』菊池良和
吃音ドクターこと九州大学の菊池先生著。
吃音の歴史から研究内容まで、吃音の事を知るためにはとても内容が分かりやすくまとまっている一冊です。
吃音に興味を持っていただいた方はまずこの本を読んでいただく事をオススメします👍
- 作者:菊池良和
- 発売日: 2019/01/18
- メディア: 新書
『吃音の世界』第1章の紹介 - どもれども どもれども(吃音体験ブログ)-stuttering,stuttering-
『吃音の世界』第2章の紹介 - どもれども どもれども(吃音体験ブログ)-stuttering,stuttering-
『吃音の世界』第3章の紹介 - どもれども どもれども(吃音体験ブログ)-stuttering,stuttering-
『吃音の世界』第4章の紹介 - どもれども どもれども(吃音体験ブログ)-stuttering,stuttering-
『吃音の世界』第5章の紹介 - どもれども どもれども(吃音体験ブログ)-stuttering,stuttering-
『吃音 伝えられないもどかしさ』近藤雄生
重松清先生に「よくぞここまで吃音と向き合った!」と言わしめた、徹底的に吃音と向き合ったドキュメント。
吃音を持つ者として読了しましたが、リアルすぎて途中で読む事が辛くなったほど。
吃音の現実を知りたい!と思っていただいた方は是非この本を手に取って下さい。
- 作者:近藤 雄生
- 発売日: 2019/01/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)